外を歩くのにマスクとポケットティッシュが手離せない季節がやってきた。花粉症は今や4人に1人が苦しむとされる国民病だ。特に今年の飛散量は前年比2.7倍で、過去最大規模になると予測されている。
鼻水を止めたい、目のかゆみをなんとかしたいとドラッグストアへ駆け込み、“応急処置”としてCMで見た抗アレルギー薬や、安価で手に入る点鼻薬を購入したという人もいるのではないだろうか。しかし、新潟大学名誉教授の岡田正彦医師はそんな行動に“待った”をかける。
「市販の安い点鼻薬を長期的に使い続けると、かえって症状が悪化する場合があります。アレルギーの内服薬も同じで、なかには眠気をもよおしたり、緑内障を悪化させたりするなど、使い方が難しいものもある。例えばクロルフェニラミンマレイン酸塩やクレマスチンフマル酸塩が含まれる薬がそれに当たります」
全国のドラッグストアで販売されている薬にも、これらの成分は含まれている。アレルギー薬を使用する際は、医師や薬剤師に相談して、慎重に購入した方がよさそうだ。
もちろん、現在流通している医薬品は、すべて国が定めた一定の安全基準を満たしている。使用上の注意をよく読み、用法用量を守れば、重篤な副作用を起こす可能性は非常に低い。しかし、その中でも専門家である医師たちが「私はのまない」と遠ざける薬がある。
◆総合感冒薬には「自分の症状に関係のない成分」も
複数の医師が「できれば避けたい」と回答したのが、頭痛や発熱、のどの痛みなど風邪の諸症状に効果があるとされる総合感冒薬だ。
「さまざまな症状に効くということは、さまざまな『有効成分』が含まれているということです。たしかに、風邪をひいて何をのめばいいかわからない人にとってみれば、選びやすく、ありがたいかもしれません。ただし、症状とは無関係の成分も一緒に体に入れることは心配です」(岡田さん)
症状もないのに、不必要な薬をのみたい人は、たしかにいないだろう。
「KISHI CLINICA FEMINA」院長の岸郁子さんが指摘する。
「成分が多ければ多いほど、自分の体質に合わない成分が入っていてアレルギー反応を起こす可能性が高まります。また、他の薬と併用して副作用が出ないか、慎重にならざるを得ません」
都内の総合病院で内科医として勤務する医師は「なかでも『PL配合顆粒』は注意が必要」と言う。