12球団の指揮官が「開幕スタメン」の青写真を描く時期に入ってきた。ところが、巨人は扇の要となる「正捕手」が固まらない。
オープン戦で1073日にぶりに阿部慎之助(39)が捕手で実戦復帰。昨季レギュラーを張っていたのは小林誠司(29)だが、FAで炭谷銀仁朗(31)が加入し、2年目の大城卓三(26)が打撃で猛アピールを重ねるなか、さらに阿部──キャンプを終えても“結論”は見えてこない。
第一次、二次原辰徳監督政権で左のセットアッパーで活躍した前田幸長氏は「開幕一軍に入れる捕手は慎之助、小林、炭谷でしょう」とし、こう続ける。
「体力に不安があるものの、実績がある慎之助は代打要員で、小林や炭谷へアドバイスをする役割が多くなるでしょう。大城は打撃が抜けているが、捕手としての経験が足りない。打撃と若さを買って一軍に置いておきたい選手ですが……」
阿部が指南役なら、一時は自主トレを共にした“愛弟子”の小林が正捕手となるのか。前田氏は「炭谷と小林は同じようなタイプの捕手で判断は難しい」としながらも、「開幕戦の正捕手は炭谷でしょう」とみる。
「原監督は小林の競争心を煽るためではなく、日本一を奪還するために炭谷を獲得しています。炭谷の通算打率は小林に比べて特別良いわけではないが、昨季の得点圏打率が3割4分5厘と、勝負強さがある。インサイドワークの経験も日本一奪回には不可欠と考えているのでしょう。小林は相性の良い菅野智之(29)らの専任捕手になるのではないか」
戦力が巨大になるほどに、成績は“用兵の妙”に左右される。
※週刊ポスト2019年3月15日号