「何もかもが限界でした」──元横綱・貴乃花との離婚の真相を初めて明かした河野景子氏の著書『こころの真実』がワイドショーを賑わしている中、「あえて書かない選択をした事柄もあります。これは自分の心の中に秘めておこうということもありますので」(夕刊フジ3月7日付)という意味深な物言いが、相撲関係者の間でさまざまな憶測を呼んでいる。
長く貴乃花部屋を取材してきた相撲ライターが言う。
「この本には、なぜこの人が出てこないんだろう、という不可解な点が多い。義父である先代の二子山親方の死を〈一番苦しかった〉出来事と悼んでいるのに、義母の(藤田)憲子さんについては一切言及がありません。義兄の若乃花(花田虎上氏)についても軽く触れられる程度で、義姉だった美恵子さんは名前すら出てこない。一時は同じマンションに住んでいた時期もあったのに……」
弟子たちへの言及も同様だ。
「貴景勝の優勝に〈涙が溢れてきました〉と書く一方、“日本での母親”として可愛がっていた貴ノ岩は一度も登場しない。付け人への暴行事件のあと、『目の前が真っ暗になってしまった』と語っていましたから、思い出したくなかったんでしょうか。貴乃花親方が角界を去ることになる一連の騒動は、日馬富士による貴ノ岩への暴行事件から始まったわけですから、何も触れないのも不自然だと思うのですが……」(同前)
発売日には、自身のブログで〈私の23年間を振り返り、私の心にあった「真実」を正直に綴ってみました〉と記していたが、書かれないところにこそ、「こころの真実」があるのかもしれない。
※週刊ポスト2019年3月22日号