2月1日、宮内庁は皇后美智子さまがミュンヘン国際児童図書館の名誉会員に就任することを発表した。
美智子さまと児童向け図書との縁は深く、童謡「ぞうさん」や「一年生になったら」などの作詩で知られた詩人のまど・みちおの『どうぶつたち』の英訳を担当したこともある。
また、東日本大震災直後には、知人を通して被災地の子供たちに14冊の絵本を贈った。『おおきなかぶ』、『白いお姫さま』、『スーホの白い馬』、『くるみ割り人形』、『新美南吉全集』(1~4)、『ガラスのうさぎ』、『ともしびをかかげて』、『三月ひなのつき』、『しんせつなともだち』、『でんでんむしのかなしみ』、『龍の子太郎』、『わたしとあそんで』、『わすれられないおくりもの』、『しずかに!ここはどうぶつのとしょかんです』だ。
1998年、美智子さまは国際児童図書評議会にビデオメッセージを寄せられた。後に『橋をかける 子供時代の読書の思い出』として刊行もされたそのメッセージの中で、美智子さまは「ごんぎつね」の作者として知られる児童文学作家・新美南吉の『でんでんむしのかなしみ』に触れている。
あるでんでんむしが、ふと自分の殻の中に悲しみが詰まっていることに気付く。自分の背負う不幸を他のでんでんむしに話すも、どのでんでんむしからも、「自分の殻にも悲しみが詰まっている」と返ってくる。そしてでんでんむしは、“悲しみは誰もが持っているもの”だと気付き、嘆くのをやめる──という内容だ。
皇室ジャーナリストの神田秀一氏が話す。