カリスマ経営者が晩年、“社内クーデター”によって失脚することはままあるが、家族全員から退場要求を突きつけられてその座を追われたとなれば、あの大塚家具にもまして悲惨である。かつて長者番付1位に輝き、「日本のカジノ王」と呼ばれた男が、その悲痛な胸中を初めて明かす。(聞き手/児玉博・ジャーナリスト。文中敬称略)
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いわゆる“カジノ法案”(IR〈複合型リゾート〉法案)が2016年に可決以来、多くの自治体が名乗りをあげるほど、「日本版カジノ」の機は熟してきた。
本来であれば、男は「日本人初のカジノオペレーター」としてスポットライトが当たるところだった。しかし、それとは裏腹に彼の身に起きたことといえば、手塩にかけ50年にわたって育て上げて来た創業会社「ユニバーサルエンターテインメント(旧アルゼ)」を“反乱”によって追われ、それどころか家族もそれに同調したという骨肉相食む追放劇だった。
ユニバーサル前会長の岡田和生(76)は一昨年6月、突然、現経営幹部と、実子である長男、長女、妻という家族の“反乱”によって会長の椅子から転がり落ちた。
インタビューの席に着くやいなや岡田は、目の前に黒色のGPS機能がついた盗聴器を見せた。昨夜、岡田に対する執拗な尾行行為を麻布警察署に通報し、尾行者の身柄が警察に確保された後、岡田の自家用車に取り付けられていたのが発見された。一昨年のクーデター以来、こうした追跡盗聴行為は4度目だという。
「誰がやった? そうですね……、私を怖いと思っている人間なんでしょうがね……」
こう言って岡田は微かに笑った。