「鍼灸治療」の人気が高まっている。厚労省の調査によると、鍼灸師が年々増加。全国に約5万5000店舗あるコンビニより、鍼灸院の数の方が多いというから驚きだ。
鍼灸師とは、3年以上学び、国家資格「はり師」「きゅう師」の両方を取得した東洋医学のスペシャリスト。患者の症状をみながら、鍼や灸によって、身体が本来持つ自然治癒力を高めて治療する。鍼灸師・前川雅恵さんが解説する。
「ツボに鍼を打つと、異物を排除しようと身体が反応し、血流が良くなることで回復機能が高まります。全身には361のツボがあり、鍼の種類は10種類以上。よく使うもので長さ1.5~5センチ、太さは0.1~0.35ミリとさまざまで、部位や症状に応じて使い分けます。肩や腰の治療なのに、足や腕に鍼を打つこともあります」
鍼は肩こりや腰痛治療に利用されてきたが、ここ数年で顔に鍼を打つ女性向け「美容鍼」の需要が高まりをみせる。女性鍼灸師の活躍も目覚ましい。
「美容鍼に通う海外セレブや芸能人が増え、一気に広まりました。美肌だけでなく眼精疲労にも効果があり、美容鍼を希望する男性も増えています。男性は歩けないほど腰が痛いとか、限界まで我慢するかたが多いです。もっと早めに、気軽に治療を受けてみてください」(鍼灸師・高田香菜子さん)
撮影■太田真三 取材・文■戸田梨恵
※週刊ポスト2019年3月22日号