『きょうの料理』(NHK Eテレ)出演が約50年となった「ばぁば」こと、94才の日本料理研究家・鈴木登紀子さんが今回教えてくれたのは、「かきフライ」。油はねに困った経験がある人もいるだろう。いかにして回避し、そしてカラリと揚げるのだろうか。
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ばぁばは「かきフライ」は“フライ界の女王様”だと思っています。
「かきフライは大好きだけど、油はねがひどくて焦げやすいし、揚げるのは苦手」とおっしゃるかたが多いのだけれど、きちんと水気を抑え、下ごしらえをして油に入れれば、どなたでも外はサクッ、中はプリプリのかきフライが揚がります。
ばぁばがちゃんとコツを教えますからね。まず大切なのが、かきのお掃除。
皮つきのまますりおろした大根おろしをボウルに入れ、その中でかきをやさしくもんで汚れを取ります。次に目ざる(目の粗いざる)にかきを入れ、水を張った大きめのボウルにつけて、流水の下でかきを手早く振り洗いします。大根おろしは自然と取れます。
そしてここからが肝要。水気をよく切り、紙タオルを敷いたバットにかきを並べ、上にも1枚かぶせて軽く押さえて、やさしく、しかししっかりと、水気を取ります。
ここで水気を抑えておかないと、油に放した時に水分がしみ出て、散々なことになりますからね。
次に、軽く塩こしょうして、小麦粉、溶きほぐした卵(白身もしっかり菜箸で切りほぐしてください)、パン粉の順に「衣」をつけます。
この時、かきのヒダヒダの中にもしっかり衣をつけますよ。衣でかきの水分を封じ込めるのです。丁寧な衣つけが油はねを抑え、ジューシーなかきフライに仕上げると覚えてください。
さらにこの後、かきをバットに並べて、冷蔵庫で15分間冷やすとよろしいですね。揚げる前に冷やしながら衣をかきになじませると、カラッとおいしく揚がります。
【カキフライの作り方】
(4人分)
【1】生かき12個は大根おろし1カップで汚れを落とし、目ざるに移して振り洗いして水気を取る。キッチンペーパーなどでやさしく水気を抑えて塩こしょうする。
【2】小麦粉・溶き卵(牛乳を少量加える)・パン粉各適量を順につける。
【3】170~180℃に熱した揚げ油でカラリと揚げる。皿に刻みキャベツ、マッシュポテトと共に盛る。
【マッシュポテトの作り方】
【1】じゃがいも2個はよく水洗いして縦二つに切る。水からゆでて、じゃがいもがやわらかくなったら湯を捨て、鍋を揺すりながら粉ふきにする。
【2】乾いた布巾などにじゃがいもを取って皮を手早くむき、マッシャーでよく潰す。
【3】鍋に戻して塩こしょうし、バター大さじ2、牛乳・生クリーム各2分の1カップを加えて弱火にかけ、なめらかにする。
※女性セブン2019年3月21日号