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「漫泊」提供の「マンガホテル」海外から予約殺到、何がウケたか

◇日本の漫画は言葉の壁を越えられる世界に誇るアート

 一歩足を踏み入れると、天井まで、壁一面に棚がズラリと並び、まるで漫画の森に迷い込んだよう──。

 今年2月、東京・神保町にオープンした『MANGA ART HOTEL,TOKYO』は、“漫画をテーマにした”ホステルだ。まだ開店まもないが、国内だけでなく、“日本の漫画”を目当てに訪れる外国人観光客も多いという。なぜ漫画のホテルなのか? 小さな頃は少年誌で、近年は電子書籍で多くの漫画を愛読してきた、代表取締役の御子柴雅慶さん(33才)に話を聞いた。

「ぼくは民泊が話題になる前から、海外50都市に、エアビーアンドビー(現地の人の家を借りて泊まるシステム)で滞在していました。その際、海外の人たちとより深くつながるために共通言語となるコンテンツが必要だと感じたんです。

 日本のことで、世界中が興味を持ってくれるものって何だろう? と考えた時、ドラえもんやポケモンはグローバルな人気がある。日本の漫画やアニメは、まさに世界に誇れるアートです。ぼくも子供の頃から漫画っ子でした。そこで、漫画を主軸にして世界に発信できるホステルを経営してみたいと思ったんです」

 現在は約20か国から予約が飛び込み、特にアメリカとドイツからの観光客が多いという。すべての漫画に、おすすめのコメントが日本語と英語で書いてあり、書評を発信するプラットホーム的な役割も担っている。

「漫画を“アート”として捉え、キュレーション選定にこだわっています。選ぶポイントは装丁のデザインと、内容がアートであるかどうか。“アート”の定義は、“心が揺さぶられるかどうか”。それを基準に5000タイトルの漫画を片っ端から読んで、600タイトルを厳選しました」

 本棚には、まさに絵だけで芸術的な世界を堪能できる『Sunny』(松本大洋・小学館)や『AKIRA』(大友克洋・講談社)など名作の保存版から、4月からドラマ化が話題の『きのう何食べた?』(よしながふみ・講談社)など、粒揃いの作品が並んでいる。映像化された話題作から、知る人ぞ知る玄人好みのタイトルまで、「あれも、これも」と手に取りたくなってしまうものばかりだ。

「欲しい漫画があったら、その場で購入することもできます。今後は漫画ソムリエを置いて、日本と世界をつなげていきたいですね」。『漫泊』は、新しい文化の発信地になりそうだ。

■MANGA ART HOTEL,TOKYO
住所:東京都千代田区神田錦町1-14-13 LANDPOOL KANDA TERRACE 4F・5F
https://mangaarthotel.com(予約はHPから)
料金:平日4800円、休前日・休祝日5800円(季節で変動)

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