スマホの普及により、今や一億総カメラマン状態。お気に入りの写真をインスタグラムやフェイスブック、ツイッターなどのSNSを通じてアップし、「いいね!」という共感や支持を集めることに喜びを感じる人も多い。
中でも“インスタ映え”する料理として、ボリュームたっぷりのサンドイッチ「わんぱくサンド」や、キャラ弁のように漫画のキャラクターを皿の上に描く「キャラプレート」、大根おろしで動物をかたどった「大根おろしアート」など、遊び心あふれるグルメ写真が人気を集めている。
「平成ならではの料理の楽しみ方でよいのですが、見映えを重視するあまり、おいしい料理を台無しにしているものがある」と、管理栄養士の大石みどりさんは嘆く。
スプーンや箸で長い時間持ち上げていて麺が伸びる。肉の断面などを見せようとして料理が冷める。迫力を出そうと強火にしすぎて焦げる。ソースをかけすぎるなど、ステキな写真を撮るための演出がアダとなり、味を犠牲にしているものの何と多いことか!
栄養士の資格を持つイラストレーターのうえだのぶさんは、自身の失敗体験を踏まえ、
「デカ盛り料理など、デコラティブに飾り立てる料理は迫力がありますが、栄養的には問題あり。自慢の手作り料理を撮ろうとして、色合いを意識しすぎた結果、見た目は◎でも栄養が偏っていたり、栄養吸収のよくない組み合わせの料理など、手の込んだステキな料理が作れているのに惜しいと思います」と話す。
今やSNSには美しい写真があふれている。一歩先を行きたいなら、食のプロをも唸らせる、おいしくて栄養満点の美写真を撮る努力が必要なのだ。
写真/ゲッティイメージズ
※女性セブン2019年3月28日・4月4日号