グラビア写真界の第一人者、渡辺達生氏(70)が“人生最期の写真を笑顔で撮ろう”とのコンセプトで立ち上げた『寿影』プロジェクト。渡辺氏は、自然な笑顔を引き出すべく、撮影する人に「一品」を持ってきてもらって、それにまつわるエピソードを聞きながら撮影する。
超魔術師でサイキックエンターテイナーのMr.マリック(70)が持ってきたのは、ユリ・ゲラーが曲げたサイン入りスプーン。
マジックに超能力的な演出を加えたマリックの超魔術。そのヒントとなり、世界観を追ったのが、超能力者を名乗るユリ・ゲラーの存在だった。そして両者には、次なる逸話があった。
「1992年、一面識もない彼に赤坂のホテルに呼び出され、スプーン曲げは自分が元祖だと証明してほしいと頼まれ、書類にサインをしたのです。その際、私の要望で曲げてくれたのが、このスプーン。最初は目の前でダイレクトにこすっていましたが、突然私の背後に回り、差し出された時には曲がっていた。尻尾を掴ませないのが凄いところです」
超魔術は今年30周年を迎える。手を替え品を替え、時代と共に進化を遂げてきたことで天職と実感すると語る。今後は人生をゴールのないマラソンと例え、逝く日まで技を磨き、マジックの素晴らしさを広めたいとも。
「高齢者にはボケ予防の脳トレとしてお勧めです。“1億総マジシャン計画”で日本中を元気にしたいです」
【プロフィール】ミスター・マリック/1949年、岐阜県生まれ。超魔術師、サイキックエンターテイナー。決め台詞「きてます!」「ハンドパワー」の超魔術は空前の大ブームに。3月23日に大磯プリンスホテルで「超魔術誕生30周年記念ディナーショー」を開催
◆撮影/渡辺達生、取材・文/スペースリーブ
◆小学館が運営する『サライ写真館』では、写真家・渡辺達生氏があなたを撮影します。詳細は公式サイトhttps://serai.jp/seraiphoto/まで。
※週刊ポスト2019年3月22日号