先行馬がはね上げた泥を浴びながら疾走するメイプルキュート号(8歳/牝)。
じつは、「負け組の星」「リストラ時代の対抗馬」として2003年に一躍人気を博したハルウララの「生涯通算成績113戦0勝」の不名誉記録を現役で更新中なのだ。2013年のデビュー戦以来121戦0勝で、3月12日のレースでも11着と振るわなかった。
「ここ数戦少し調子が悪く、今日を入れて7戦着外が続いてしまいました。馬もアスリートですから、年齢からくるひずみもあるんでしょうね。暖かくなり調子が出てきたら見せ場を作りたいと思っています」(渋谷信博調教師)
2015年には着外が20戦以上続き、引退の危機もあった。
「餌や体質の改善を行ない、勝てないまでも掲示板にのる(5着以内)ことが増えました。ただ、勝ち運がないというのかな、過去に8回あった2着のうちクビ差が数回ありました。この馬に限らず、どんな馬でも同じだけど、勝たせてあげたい」(同前)
次走は馬の調子を見ながら3月下旬~4月中旬で調整中。次こそ念願の初勝利となるか、それとも──。
●撮影/渡辺利博
※週刊ポスト2019年3月29日号