平成に入って一気にクローズアップされるようになった社会問題が「孤独死」。遺体が数週間も発見されず、無残な状態で発見されるニュースは珍しくなく、そういったケースを専門にした清掃業者も存在する。身寄りのないお年寄りの遺品を勝手に売却すると罪になるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
遺品整理特別清掃業に従事しています。身寄りのないお年寄りがアパートなどで亡くなった場合、その部屋を掃除し、いらぬ持ち物は廃棄する仕事です。たまに高価な腕時計を発見することがあります。こういう場合、廃棄物として私が貰い受けてもよいですか。換金したりすると罪に問われるでしょうか。
【回答】
身寄りがないという意味は、遺族不明なのでしょうが、この場合は遺族不存在とは違います。死者が財産を残せば、遺言がない限り、死者の親族や親疎の度合いに応じて法律が定める順番により、相続することになります。
まず、配偶者は必ず相続人になり、子も相続人になります。子が死亡していれば、孫等の直系卑属、直系卑属がいなければ、親・祖父母等の直系尊属の親等が最も近いもの、直系尊属もいなければ、兄弟で、亡くなっていれば、甥姪までが相続できます。身寄りがわからなくても、この範囲の人がいる可能性があれば、相続財産は法定相続人により相続され、遺品は誰かの物です。
戸籍調査で法定相続人がいないと判明しても、勝手に処分するのは問題です。民法では、「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は法人とする」と定めているからです。