自転車事故で政界を引退した谷垣禎一・元自民党総裁(74)を参院選に出馬させるという二階俊博・幹事長(80)の目論見は、3月13日の直接会談で「リハビリを中心に生活をしていく」と固辞され、当てが外れた。
どっこい、二階氏は「交渉は断わられた時から始まる」と諦めてはいない。背景にあるのは、4月7日投票の大阪府知事選と大阪市長選のクロス選挙である。
「大阪クロス選挙は、二階幹事長と菅(義偉)官房長官の政治力を懸けた戦い。自民党が府知事と市長を奪還して大阪維新の会の本丸を攻め落とせば、維新の後見人として力を持っていた菅さんは政権内での力を一気に失い、二階さんの天下になる。逆に維新が勝てば、菅さんが二階さんをひきずり下ろして幹事長就任の芽が出てくる」(自民党ベテラン議員)
自民党は“切り札”だった俳優の辰巳琢郎氏の府知事選擁立に失敗し、「厳しい戦いになった」(同党大阪府連幹部)と劣勢に立たされている。
その二階氏にとって、谷垣氏は“新たな救世主”になり得る存在だという。
「谷垣さんは2月の自民党大会に車椅子で登場し、スピーチで大喝采を浴びた。2020年の東京パラ五輪に向けたイメージ作りの意味でも、谷垣さんの政界復帰を待望する声は多い。参院選後の内閣改造で菅さんが幹事長を狙ってくれば、二階さんは対抗馬として“谷垣幹事長”を唱え、自分は副総裁におさまるつもりではないか。そのためにもぜひとも谷垣氏を参院選に出馬させたい」(二階派議員)
80歳の執念が谷垣氏を動かすか。
※週刊ポスト2019年3月29日号