英国の国家経済犯罪センター(NECC)は3月初旬、「中国人留学生の銀行口座が資金洗浄(マネーロンダリング)に使われた疑いがある」として英国在住の中国人留学生ら95人の銀行口座を凍結したことが明らかになった。凍結された口座の総額は360万ポンド(約5億3500万円)にもなるという。BBCなどが報じた。
NECCは留学生の口座に必要以上の多額の現金が振り込まれているなどとして、「留学生はバークレイズ銀行などの口座を違法な目的で使用した疑いがかけられている」と発表。
留学生らはショートメールなどを利用して、面識のない人間から銀行の為替レートよりはるかに有利なレートで両替を行っていたという。
BBCなどによると、中国では留学生の両親や親族が投資資金を海外に留学中の子どもの銀行口座に送金するケースも確認されている。このため、中国人留学生が母国の家族のマネーロンダリングに加担している可能性があると報じている。
中国からの海外送金は現在、中国政府の規制によって、上限は5万ドルに設定されているが、この2年あまりの間で中国からの資金流出が深刻化している。中国内で不正に手に入れた資金が海外に移され、海外の不動産市場や他の金融市場でロンダリングされている疑いが強い。
このため、欧米諸国の関係当局はこうした事案の摘発に力を入れており、多額の海外送金について追跡・調査を行っているという。