昨シーズンの順位を挽回するには、選手が不調のトンネルを抜け出せばよいのだが、そのためにはサポートするコーチの役割が重要だ。最下位からの復活を期す阪神では、矢野燿大・新監督(50)の手腕に期待がかかる。脇を固めるのは、藤井彰人・バッテリーコーチ(42)、浜中治・打撃コーチ(40)、藤本敦士・内野守備走塁コーチ(41)、福原忍・投手コーチ(42)ら、矢野監督が二軍監督をしていた頃からのスタッフだ。
「気心の知れたコーチばかりなので情報交換がスムーズなうえ、責任の所在が明確だから機能しやすい」(評論家の山崎裕之氏)というとおり心強い面々だが、一方でこんな声も聞こえてきた。
「このままでは藤浪晋太郎(24)が一軍に戻って来られないのではないか」(阪神担当記者)
2017年は3勝、昨年は5勝と不振に喘ぐ藤浪。最大の懸案は“イップス”とも指摘される極度のノーコンだ。
3月12日の中日戦でも4回を投げて1失点ながら4四死球、2暴投の大荒れ。試合後、藤浪は2軍調整を志願した。
「右打者にぶつけられるのが怖い中日は、9人とも左打者で揃えた。藤浪はそれでもコントロールが定まりませんでした。復活のためには、もはや抜本的なテコ入れが必要です。チームの指導者でそれができるのは、現役時代から藤浪の兄貴分だった福原コーチだけだと思われていたんです。藤浪は150キロの速球を持ちながらコントロールの良かった福原コーチを尊敬していて、現役時代は“ワンバウンドのキャッチボール”など福原コーチに調整法を教わっていた。昨年二軍に落ちたときも二人三脚でフォーム改善に取り組んでいました。
しかし福原コーチが一軍に昇格したことで、ファームの藤浪は頼れなくなる。福原コーチにとっても“涙の別れ”でしょう。なんとか自力で這い上がるしかない」(同前)