国際情報

年金不安に怯える中国の高齢者を狙う詐欺集団の手口

中国でも高齢者を狙う詐欺が社会問題に(アフロ)

 詐欺が社会問題となっているのは日本だけではないらしい。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 老後が心配──。日本と同じく、高齢化が進む中国に暮らす人々にとって、深刻な悩みだ。なかでも年金である。中国では「養老金」という。

 官僚や国有企業、大企業の従業員であれば、概ね養老金は支払われる。もともと、生涯給与として支払われていたものを転化したもので、十分な額か否かということを問わなければ、最低限のものは保障されている。

 あとは物価上昇との戦いだ。だが、商店やレストラン、中小零細企業の従業員は、養老金をほとんどあてにはできない。制度的には存在していても、実際には体力がなく掛け金が欠けられていないといったケースが多いからだ。

 そういう人々が頼りにしているのが民間の保険会社の用意する養老金である。そしていま、この養老金保険で問題化しているのが、リタイア間近の人々を狙った詐欺である。

 3月16日、『経済観察報』が報じた事件は、リバースモーゲージを利用した詐欺だった。リバースモーゲージとは、自宅を担保に老後の資金を手当てし、自らが死亡したときに不動産で精算する仕組みで、中国のケースもほとんど同じだ。

 だが、このケースは「房本」(権利書)を持ち出し、それを担保に借り入れをさせ、借り入れた資金を投資に振り向けさせて、高い利回りを毎月の給与のように振り込み続ける…という仕組みだった。いかにも詐欺といった話だ。

『経済観察報』が報じたケースでは、被害者が契約して間もなく、相手企業が北京市工商行政管理局朝陽分局から「経営不正常企業」としてリスティングさせたことを知るという幕切れだった。将来を心配する老人と若者が、それぞれが抱える不安心理に巧みに付け込まれる詐欺がいまの中国では増えている。

関連記事

トピックス

中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
【独自】「弟がやったことだと思えない…」中居正広氏“最愛の実兄”が独白30分 中居氏が語っていた「僕はもう一回、2人の兄と両親の家族5人で住んでみたい」
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン
新田恵利(左)と渡辺美奈代があの頃の思い出を振り返る
新田恵利×渡辺美奈代「おニャン子クラブ40周年」記念対談 新田「文化祭と体育祭を混ぜたような感覚でひたすら楽しかった」、渡辺「ツアーも修学旅行みたいなノリ」
週刊ポスト
放送時間を拡大しているフジテレビの『めざましテレビ』(番組公式HPより)
日テレ『ZIP!』とフジ『めざまし』、朝の“8時またぎ”をめぐるバトルがスタート!早くも見えた戦略の違い
NEWSポストセブン
新政治団体「12平和党」設立。2月12日、記者会見するデヴィ夫人ら(時事通信フォト)
《デヴィ夫人が禁止を訴える犬食》保護団体代表がかつて遭遇した驚くべき体験 譲渡会に現れ犬を2頭欲しいと言った男に激怒「幸せになるんだよと送り出したのに冗談じゃない」
NEWSポストセブン
公的年金は「社会的扶養」「国民の共同連帯」「所得再分配機能」(写真提供/イメージマート)
《まるで借りパク》政府の基礎年金(国民年金)の底上げ案 財源として厚生年金を流用するのは「目的外使用」ではないのか、受給額が年間8万円以上減額も
NEWSポストセブン
地元の知人にもたびたび“金銭面の余裕ぶり”をみせていたという中居正広(52)
「もう人目につく仕事は無理じゃないか」中居正広氏の実兄が明かした「性暴力認定」後の生き方「これもある意味、タイミングだったんじゃないかな」
NEWSポストセブン
『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
《英国史上最悪のレイプ犯の衝撃》中国人留学生容疑者の素顔と卑劣な犯行手口「アプリで自室に呼び危険な薬を酒に混ぜ…」「“性犯罪 の記念品”を所持」 
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン