いよいよプロ野球が開幕する。今年は原辰徳監督が再び率いることになった巨人が4年連続V逸の汚名を返上できるかどうかに注目が集まっている。
その巨人の黄金期を支えた、江川卓氏と西本聖氏。2人の伝説とも言われるライバル関係を描いた漫画『江川と西本』(作/森高夕次、画/星野泰視)が連載されているビッグコミックスペリオール(3月22日発売号)で、なんと本人たちが登場した。西本氏はインタビューで、江川氏の「空白の一日」事件を経て入団した直後の「江川との関係」を明かした。
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──ドラフト騒動(空白の一日事件)を経て入団直後、孤立していた江川さんに声をかけてキャッチボール相手に名乗り出たと聞きます。その理由は?
西本:実は自分の記憶では「そうだったかな?」という感じで……理由はハッキリ分からないけど「江川さんとキャッチボールしたい!」って本能的に思ったのかもしれません(笑)。
当時は試合前、江川さんと球場内をランニングしていると、本当に酷い野次が客席から飛んできました。これが自分だったら絶対にキレるな……と思うくらい酷い。でも江川さんは、ただ黙々と走っていた。それが印象的でしたね。あと普段は遠征先で試合が終わると、夕食を食べに皆で町へ繰り出すんですが、江川さんは試合が終わったら宿舎にこもっていました。たぶん現役中はずっとそうだったかな……それぐらい周囲に気を遣っていましたね。
──江川さんはブルペンで西本さんが投げるシュートを見て驚いたそうです。
西本:えっ、それ本当に江川さんが言ってたんですか? 意外だなぁ……江川さんは他のピッチャーのことなんか全然相手にしない、というより気にしない感じでした。ブルペンで隣に誰がいようが、ただただ自分のペースで投げているように見えました。だから僕のシュートのことを「こんな曲がってすごいな」って思ってくれたなら、当時言ってくれればもっと嬉しかったな(笑)
──「江川と西本」のライバル関係を象徴する出来事と言えば、1979年の長嶋茂雄監督の下で行われた「地獄の伊東キャンプ」での投げ合いですね。江川さんに投げ込みを挑んだ理由とは?