的に向かってまず一礼。姿勢を正し、筒に矢を収めたら筒を持った腕を高く上げながら息を吸う。次に筒を下げながら息を吐く。息を吸いながら的の中心に狙いを定める。息を吸いながら腕を上げることで胸郭を広げ、呼吸する力をアップする。的までの距離は5~10m。100cmか120cmの筒を使い、1g以下の軽い矢を、【3】3cm四方の的に向けて放つ。
腹筋と胸筋、頬の咬筋も総動員して一気に吹くと、シュッ、ズバッという小気味いい音が。筒を掲げて息を整え、再び的に向かって一礼。スポーツ吹矢は1998年、日本生まれ。武道のような折り目正しい作法が清々しい。
「的の中心点にピタリと焦点が合うと快感。さらに矢が刺さると本当にうれしいです。的全体をぼんやり見てしまう日もあり、自分の心と向き合うようですね」と言う70代の女性。腰痛のリハビリとして始めて3年。今は痛みどころか、集中するおもしろさでやめられないという。
「スポーツ吹矢は腹式をベースに胸式呼吸も合わせた独特の呼吸法が特徴で、呼吸器や嚥下機能強化のほか、脳の老化防止、ストレス解消、精神安定、喘息の改善など、いろいろな健康効果でも注目されています。
年齢や性別、障害の有無を問わず、スポーツ経験や体力がなくてもできますが、的に矢を当てるにはしっかりとした体幹と集中力が必要。80~90代の人も参加されていますが、続けるうちに腹筋、背筋が鍛えられて、姿勢がよくなり、生き生きされます。個人競技ながら多世代交流ができるのも魅力です」(日本スポーツウエルネス吹矢協会 師範・障がい者サポート部部長 荒井和子さん)
スポーツ吹矢は現在、協会直営の教室をはじめ、全国47都道府県協会のもとに約1300か所の地域支部、約120か所のカルチャーセンターで体験でき、実力認定や競技会参加もできる。なお、スポーツ吹矢は、4月1日より「スポーツウエルネス吹矢」に名称変更される。
※女性セブン2019年3月28日・4月4日号