従来は、寺社や霊園などに墓石を建てて遺骨を納めて供養し、代々承継してきたが、今やその形態も供養方法も多様化。お墓の現状は大きく変化している。
日本最大級のお墓ポータルサイト『いいお墓』への相談で多いのは、「お墓のことで家族に心配をかけたくない」という内容だ。
「先祖代々の墓を承継し、そこに入るのが当たり前の時代から、生活スタイルも一変。田舎を離れて都会で暮らす人も増えたことで、地縁・血縁関係が希薄になり、田舎の墓を守り続けるよりも、もっと便利な場所に墓を買い、そちらに移したいと考える人が増えているようです」
そう話すのは、『いいお墓』を運営する「鎌倉新書」ライフエンディング事業1部部長の田中哲平さん。つまり、墓じまいと新たな墓探し、その両方を考えている人が増えているのだ。
さらに今秋には消費税の増税が予定されているため、「お墓の購入で損をしないためには、今のうちに決めてしまった方がいい」と田中さんはアドバイスする。
墓にかかる費用には、墓石代、永代使用料、管理料などがあるが、消費税の対象となるのは墓石代と施工費で、管理料にかかる場合もある。
墓探しから契約までにおよそ3か月、建墓にかかる日数が2~3か月と考えると、10月の増税を免れるためには、遅くとも5月までに購入契約を済ませる必要がある。
「3月31日までに契約すれば、たとえお墓の引渡しが10月を過ぎても、消費税は8%しかかかりません。しかし、増税前に契約をしていても9月30日までに引渡しが完了しなければ、10%になってしまいます。だから、この春のお彼岸前後で候補となる霊園を見て、平成のうちに契約をした方がお得なんです」(田中さん・以下同)
仮に、3月に契約を済ませたとしても、その後、墓石の種類などを変更する場合は、9月30日までに引渡しが完了すれば消費税は8%のままだが、10月1日以降の引渡しになれば、増額分の消費税は10%になってしまう。
樹木葬の場合、墓石はないが、故人を見分けるための目印にプレートなどを設置すれば、消費税がかかる。
さらに、墓のクリーニングや墓石研磨などの費用も課税対象。こちらも増税前に済ませておきたい。
※女性セブン2019年3月28日・4月4日号