東海道新幹線の車窓から見ることができる国宝・五重塔を擁する真言宗総本山「東寺」(教王護国寺)は、794年の平安京遷都にともなって建立された密教寺院である。823年に弘法大師・空海が、嵯峨天皇より賜った。密教の教えを視覚的に表現した曼荼羅や法具など、空海にまつわる数多くの貴重な文化財を今日まで守り続けている。
中でも有名なのが、境内の中央に位置する「講堂」に安置された21体の仏像からなる「羯磨曼荼羅」、通称「立体曼荼羅」だ。空海が曼荼羅を立体化させてわかりやすくしたもので、約1200年にわたり人々の祈りが捧げられてきた。東寺の砂原秀輝・執事長が語る。
「真言密教の教えは曼荼羅で表わされています。お大師様(空海)はその教えをよりビジュアル化するために立体曼荼羅を展開しました。一つ一つがお大師様の作とも言われており、非常に貴重なものです」
文化財としての評価も高く、そのすべてが国宝または重要文化財に指定されている。
そのうちの15体(国宝11体、重要文化財4体)が、3月26日から東京国立博物館で開催される特別展「国宝 東寺─空海と仏像曼荼羅」に出展される。
一つ一つの仏像が2m前後と大きく、かつほんの少しの破損も許されない文化財とあって、東寺以外で展示するのは容易ではなく、これだけの規模の出展は史上最多となる。
「日本中の皆様にお大師様の教え、そして仏像の一つ一つが何を意味しているかということを知っていただく良い機会かと思っております。東寺だけでなく東京国立博物館に出展することで、多くの方にお大師様の教えに触れていただきたいというのが私どもの願いです」(砂原執事長)
●特別展「国宝 東寺─空海と仏像曼荼羅」/東京・上野の東京国立博物館にて3月26日(火)~6月2日(日)に開催(月曜と5月7日は休館。ただし4月1日=東寺展会場のみ、29日、5月6日は開館)。詳しくは公式サイト:https://toji2019.jp まで。
※週刊ポスト2019年4月5日号