100年以上に及ぶ高校野球史にあって、「伝統校」「名門校」は、校名とユニフォームのデザインがセットでファンの記憶に定着している例も多い。
だが歴史を紐解くと、そういった高校にも、意外な“以前の姿”がある。
荒木大輔(元ヤクルト)や斎藤佑樹、清宮幸太郎(共に日本ハム)を輩出した早稲田実業(東京)が、夏の第1回大会に出場した当時のユニフォームは、細いストライプに、左胸に「B」の文字。これは「実業=BUSINESS」の頭文字をあしらったものだ。
現行のデザインにも意外に知られていないポイントがある。左肩に「B」の字が入っているのは往時の名残。一見、早稲田大学野球部のものと同じに映るが、胸にエンジ色で綴られた「WASEDA」のロゴにも秘密がある。
大学が胸のボタンを境に向かって左に「WAS」、右に「EDA」と分けて刺繍されているのに対し、早実は「S」の字が胸の合わせをまたぐ造り(通称「Sかぶり」)となっている。
この違いは、早稲田実業が早稲田大学とは別の学校法人によって運営されている「系属校」であることが理由で、早稲田大学の「付属校」である早大学院(東京)と早大本庄(埼玉)は、大学と同じデザインのユニフォームだ。
※週刊ポスト2019年4月5日号