歯科医療で高額な自由診療でありながら、1か月で約2万7000件の手術が行なわれているインプラント治療。だが、トラブルを度々起こす専門医の存在や、問題が指摘されるインプラント・メーカーの情報は、ほとんど表には出てこない。
欧米でインプラントを学んだ経験を持つ若い歯科医が、患者に現実を知ってほしいと取材に応じた。
「その患者がクリニックを訪ねてきた時、すでにインプラントが左右にグラグラ揺れる状態でした。手術を行なった歯科医は、インプラント・クリニックを展開するオーナーとして名が知られた人物です。でも実際は、手術が雑でトラブルが多いことで有名でした。
患者が痛みと違和感を訴えるので、X線画像を撮影すると、インプラントの周囲は黒い影になっていました。骨が完全に溶けていたのです。上顎洞に突き抜けてしまう恐れがあったので、すぐに撤去しました。
これが、その時のインプラントです(写真参照)。上部構造(人工歯)とインプラントのバランスが悪いですし、表面のコーティングも剥がれています。おそらく、最安値のインプラントで、1本8000円程度。それを患者さんからは約20万円とるわけですから、利潤は大きいでしょう。私は絶対に使用しない製品です」
インプラント手術を受ける歯科医院を選ぶ際は、使用するメーカーを教えてくれること、製品のロットナンバー・カードを渡してくれることなどは、必ず確認すべきだ。
◆顎の骨が腐食・壊死