甲子園通算133勝を挙げ、春4回、3連覇含む夏7回の全国最多の優勝回数を誇るのが中京大中京(愛知)だ。
1923年の創立時の校名「中京商業」から「中京」に、そして1995年に現校名になると野球部のユニフォームデザインを一新した。
かつては襟を立てたデザインで、胸にはゴシック体で「CHUSHO(その後『CHUKYO』)」と書かれていたが、丸首に筆記体の「CHUKYO」へと大胆なモデルチェンジを敢行したのだ。
当時の監督は大藤敏行。1990年に28歳の若さで低迷する名門の立て直しを託された。
「学校改革の過渡期にもあり、ユニフォームに関しても賛否両論ありました」
大藤は振り返る。OBの現場介入は長い歴史のある学校ならではの悩みだろう。
まさしく叱咤激励を浴びながら、大藤は2009年夏に堂林翔太(広島)を擁し、43年ぶりに深紅の大優勝旗を持ち帰った。
2010年に監督から退き、U-18高校日本代表のコーチなどを歴任すると、昨年、母校や東邦、愛工大名電と共に愛知の「私学4強」に数えられる享栄の監督に就任し、20年近く甲子園から遠ざかっている同校野球部の再建にあたっている。
(文中敬称略)
◆取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)
※週刊ポスト2019年4月5日号