安倍晋三首相(64才)は2月22日、東京・元赤坂の東宮御所を訪れ、皇太子さま(59才)と約30分の面談をした。首相が国政などに関して天皇陛下に報告することは「内奏」と呼ばれ、年に数回行われるが、皇太子さまへの報告は異例のことだ。実は、そこで驚きの会話がされたという。皇室ジャーナリストはこう語る。
「首相から皇太子さまへ、来年に迫った東京オリンピックや天皇陛下の譲位に関連する儀式について報告するだけでなく、新元号についての説明もあったそうです。新元号の複数の案を示し、その中には(安倍首相の)『安』の文字もあったとされます。皇太子さまは穏やかに“みなさんでよくよく検討してください”といった対応をされたそうです。
また、首相は新元号の決定や公布の手続きを報告したようです。ただ、そのプロセスは皇太子さまのお立場を軽視したものではないかと波紋を呼んでいます」
そもそも、元号を最終決定するのは誰なのか。「昭和」までの246の元号は、天皇自らが決めてきた。元号は天皇の治世を表す名前であり、崩御されたあとは「おくり名」になる。天皇の意志が優先されるのは自然なことだ。
ところが、1979年に「元号法」が制定されると、内閣が新元号を決めることに変わる。具体的には、内閣から委嘱された専門家の提案の中から3案程度が絞り込まれ、有識者会議で検討されたのち、閣議にて改元政令が決定される。
ただし、元号が天皇の御代に対応するものであることに変わりはなく、閣議決定後、天皇が政令に「署名」して初めて、新元号が公表される。前回の平成改元では、即位直後の天皇陛下が『明仁』とサインされた。
「本来ならば、新天皇の即位後の最初の国事行為が、新元号の政令への署名になるべきです。次の元号は、皇太子さまの御代の名前なのだから、皇太子さまが『徳仁』とサインされるのが筋です。
しかし、4月1日の時点では、皇太子さまはまだ天皇ではないため、国事行為である署名を行うことはできません。つまり、今上天皇が『明仁』とサインされることになる。安倍首相は皇太子さまとの面会でそうしたプロセスを説明されたと考えられます」(前出・皇室ジャーナリスト)
つまり、伝統的に続いてきた「一世一元」の原則が一時的に崩れ、皇太子さまは自分の治世の名を“自分で決める”ことができないということになるのだ。
生前退位という異例の御代がわりではあるが、「皇室の伝統を理解していない政治家や官僚が急ごしらえで退位特例法を作ったからこういう矛盾が出てくる」(別の皇室ジャーナリスト)という声も大きい。
※女性セブン2019年4月11日号