デフレ全盛期の外食チェーン、とりわけファストフード店は安さを求める消費者に応えようと、ワンコインの500円をひとつの価格基準にメニュー開発を行ってきた。だが、近年は人手不足や原材料高、来るべき消費増税などの対策もあり、値上げも含めた「脱ワンコイン化」が加速している。そこで、フードアナリストの重盛高雄氏が、「“ちょい高”でもコスパ最強の外食メニューBEST3」を挙げる。
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かつて、安さが代名詞であるファストフードは、500円を超えると売れない「デフレ時代」が長らく続いた。消費者が外食にかける1食の価格帯がワンコイン以内であって、店側もとにかく低価格にしなければ支持されないと、格安メニューの開発が商品戦略の中心となっていた。
ところが、商品の安さと同時に、食の安心安全を脅かすような事件が頻発したこともあり、「安かろう悪かろう」が正しく認識される時代となった。安いものにはワケがある。それが理解できる商品しか売れなくなっていった。つまり、消費者のほうが商品の品質や価格の妥当性に敏感になり、賢くコストパフォーマンスを考えるようになったのである。
商品の持つ価値と価格設定がほぼパラレル(並列)であることが求められる時代──。もはや、回転率や原価率を高く設定するビジネスモデルが人気を博したのも、ひと昔前の潮流になりつつあるようだ。
そこで、店側はますます価格設定に頭を悩ませている。たとえば、人件費や原材料費の高騰を理由に販売価格の値上げもやむなしの昨今とはいえ、単なる価格の値上げは客離れに直結する。
古くは同じ商品が地域により販売価格が異なる「地域価格」を設定した日本マクドナルドが、早晩価格戦略の見直しを迫られた。また、最近では一律値上げで業績不振に陥った鳥貴族も然り。消費者に継続しておトク感を与えられる“一味”がなければ、値上げによる売り上げ増は見込めない。
さらに、今年の10月には消費税増税が控えている。コンビニや外食チェーンなどの飲食料品は持ち帰れば軽減税率が適用されて従来の税率8%のままだが、店内で食べれば10%の消費税がかかる。これにより持ち帰りの客が増えたとしても、当然ながら店側には梱包資材などのコストが余計に必要となり、企業業績に直結する支出増となる。また、キャッシュレス決済に対応することで消費者へのポイント還元なども予定されているが、店にとってはキャッシュレス時代への対応コストも膨大になる。