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見るも無残な姿になりがち…ほうれん草の正しい茹で方とは

天然木の山椒を擂りこぎに使うばぁばこと、鈴木登紀子さん

 ばぁばこと、現役最高齢94才の日本料理研究家鈴木登紀子さん。栄養豊富なほうれん草の正しい調理の仕方とは? 次の世代に正しく伝えたい、ほうれん草の調理方法を聞いた。

 * * *
 ひと雨ごとに春が加速し、風が軽やかになる季節、スーパーの野菜売り場も春爛漫。元気な春野菜を見ると、つい買いすぎてしまいますわね。

 本来の旬は真冬ですが、今では一年中出回っているほうれん草も、まだまだやわらかくてお買い得。みなさんも「ほうれん草のおひたし」はよくお作りになるかもしれません。

 ただ、ほうれん草をゆがいて、しょうゆと削りぶしをかけただけでは「おひたし」にならないのよ。おだしに浸してはじめて“おひたし”と名乗ることができるのです。それから、そもそも肝心なのが、ほうれん草のゆで方です。

 根を落として、1把丸ごと熱湯に入れて沸騰するまで待ち、ざるにジャーッと空ける…なんてことはゆめゆめなさらないように。そんなことをしたら、お湯の温度が急激に下がり、ふたたび煮立ちを待つ間にほうれん草はクタクタ、どんどんアクが出て、見るも無残な姿になります。

 青菜はすべからず、シャキシャキとした歯ざわりが身上です。

 ほうれん草は2株ずつ小分けにし、塩をひとつまみ落とした熱湯に、ほうれん草を根元から入れます。煮立ってきたら菜箸で裏返し、次に煮立ったところで冷水にとってアクを除きます。

 しっかりと水気を絞り、ひと口で食べられる長さに切り揃えます。そしておだしに浸します。あるいは、黒ごまを擂ってほうれん草にまぶした「ごまよごし」もおすすめです。質のよいごまを用意なさると、味わいも格上げします。

 春の日、ごまを擂り鉢でスリスリとあたる平和な時間がばぁばは好き。よい香りを放ちながら、ごまがなじむ音を楽しむのも乙なものです。

◆ほうれん草の茹で方
【1】ほうれん草1把(約200g)は、水洗いをして包丁で根の先端を切り、十文字の切り込みを入れる。
【2】鍋にたっぷりの湯を沸かして塩少量を加え、ほうれん草を2株(茎が細ければ3株)ずつ根元から入れて、一度返してすぐに冷水に放す。
【3】水の中で振り洗いをし、水気をよく絞る。残りの株も同様にゆでる。

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