平成最後の本場所での大関誕生に沸いた角界。今後は貴景勝(22)という新スターが、“最強”の横綱・白鵬に挑戦する構図とみられていたが、そう単純ではない。春場所千秋楽で15回目の全勝優勝を遂げた白鵬(34)への、協会や横綱審議委員会の対応も注目される。
春場所の優勝後インタビューで白鵬が「平成最後の場所なので」と観客に三本締めを促したことについて、横審が苦言を呈したが、「白鵬に対しては、横審は、“強硬姿勢”で臨むつもり」(若手親方)とみる向きもある。
そうなると白鵬の命運を分けそうなのが「帰化」の問題だ。親方として協会に残るには日本国籍が必要だが、白鵬は帰化していない。
「“モンゴル国籍のまま一代年寄”という特例を勝ち取る野望を捨てていないからだといわれる。ただ、角界に貢献した大横綱にのみ認められる一代年寄は、過去に大鵬、北の湖、千代の富士(辞退)、貴乃花の例があり、目安は『優勝20回以上』とされるものの、明確な規定はない。だから、北の湖や貴乃花も引退前に通常の親方株も取得していた。
その点、白鵬は日本国籍がないから、通常の株も持てない。休場を続けて横審から事実上の引退勧告にあたる『激励』を突きつけられ、引退に追い込まれるような事態になれば、一親方として協会に残ることすらできなくなる」(同前)
横審の苦言を意識してか、春場所千秋楽で右腕を負傷したと訴える白鵬は土俵入りはできると春巡業に参加。だが、夏場所出場は明言していない。
傍若無人が通るのか、“角界史上最強”を自任してきた横綱が重大な岐路にある。
※週刊ポスト2019年4月12日号