スポーツ

復活の羽生結弦、ファン目線で追った帰国から世界選手権まで

羽生結弦が出場した世界選手権会場外

 世界フィギュアスケート選手権で気迫あふれる演技を見せた羽生結弦(24才)。結果は銀メダルだったが、けがから復帰した五輪王者の滑りは世界中から注目され、23日に行われた男子フリーの中継は平均視聴率24.3%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録した。羽生の闘いをファンはどう見たのか。フィギュアスケート観戦歴23年の記者が、ファンの目線から見た羽生結弦を紹介する。

 * * *
 3月18日、羽生はさいたまスーパーアリーナで開催された世界フィギュアに出場するため、日本に帰ってきた。2018年11月のグランプリシリーズ・ロシア大会以来の公式の場での姿。ロシア大会で練習中に右足首を負傷し、グランプリファイナルと全日本選手権の欠場を余儀なくされ、姿を見せていなかった羽生が、日本に降り立ち、歩いている――。ファンは彼が歩いている姿を見るだけで、うれしくて涙が出てくるという。
 
 羽生が羽田空港に降り立ったとき、著者はさいたまスーパーアリーナで男子の公式練習を見ていた。もしかして今日の公式練習から参加するかもしれない――。そこにいたファンの間で、期待の高まりがあったが、羽生の姿はそこになかった。そして帰国した情報がツイッターで流れると、そこに彼はいなくても会場のボルテージが一気に上がった。

 ジュニア時代から羽生を応援し続けてきた40代女性は言う。

「テレビで動いているゆづが見られるだけでいい。彼がけがなく、元気で滑りきってくれたら、それだけで、もういいんです」

 試合で羽生を見られる機会はもう残り少ないかもしれない。しかも今回は日本開催。日本で彼の試合を見ることはこの先、どれだけあるだろう。それだけに日本での闘いの場に戻ってきたことがファンにとっては何よりも喜びだったのだ。

 フィギュアスケートの選手寿命は短い。ジャンプの着氷の際、足には体重の5~6倍の負担がかかり、来る日も来る日も練習を重ね、若い体にも大きな負担がかかる。多くの選手がけがに泣き、時には大切な試合の欠場も余儀なくされる。そうでなくても、技術進化の激しいスポーツ。若手は難度の高いジャンプを習得し、先に行くものをおびやかす。それに立ち向かい、現役を続けていくことは相当な精神力が必要だ。

 しかし羽生は五輪二連覇をしてもなお、そこに立ち向かう道を選んだ。成長を求め、誰も成し遂げていない4回転アクセルの成功へ意欲を見せ、現役続行を決意した。

 これは従来のファンはもちろん2018年の平昌五輪からファンになった人たちにとっては、うれしいことだった。アイスショーでの羽生ももちろん魅力的だ。しかし彼が最も光を放つのは、試合で鬼のような表情で氷の上に立つとき。闘争心にあふれ、勝つことへのこだわりを誰よりも見せる瞬間こそが、羽生の美しさが輝くのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

石川県の被災地で「沈金」をご体験された佳子さま(2025年4月、石川県・輪島市。撮影/JMPA)
《インナーの胸元にはフリルで”甘さ”も》佳子さま、色味を抑えたシックなパンツスーツで石川県の被災地で「沈金」をご体験 
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン
隣の新入生とお話しされる場面も(時事通信フォト)
《悠仁さま入学の直前》筑波大学長が日本とブラジルの友好増進を図る宮中晩餐会に招待されていた 「秋篠宮夫妻との会話はあったのか?」の問いに大学側が否定した事情
週刊ポスト
新調した桜色のスーツをお召しになる雅子さま(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
雅子さま、万博開会式に桜色のスーツでご出席 硫黄島日帰り訪問直後の超過密日程でもにこやかな表情、お召し物はこの日に合わせて新調 
女性セブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
週刊ポスト