歯科の診療やケアを受けた上で、歯磨きなどセルフケアの自立も、健康寿命のためには重要なことだという。訪問歯科衛生士の篠原弓月さんはこう語る。
「セルフケアの基本は歯ブラシによるブラッシングです。口が乾燥すると敏感になるので、歯ブラシや歯磨き剤は低刺激のものを選びましょう」
◆磨き方:歯を1本ずつ磨くつもりで、小刻みに横方向に動かして丁寧に磨く。すすぐときは丁寧に[ブクブクうがい]を。
[ブクブクうがいの方法]
水を含み、意識して頰を動かし、口の中の汚れを取り除く。唇や頰の筋力アップにもなる。歯磨きのときにはもちろん、リフレッシュのために気軽に行って。
【1】片方の頰をしっかり膨らませ3~4回ブクブクと動かす。反対側も3~4回繰り返す。
【2】上唇と歯茎の間(鼻の下)をしっかり膨らませ、あごを上下に動かしながらブクブクと3~4回。
【3】頰全体を膨らませて、口の中をしっかり使ってブクブクと3~4回。
◆タイミング:起床時と寝る前には必ず。うがいだけでは菌を流せないので歯磨きを。
◆歯ブラシ:ヘッドは小さめ、毛先はストレートカットが細部までよく磨ける。天然毛は雑菌が繁殖しやすいので、ナイロン毛のやわらかめのものを。
◆ワンタフトブラシ:歯と歯茎の境目や歯並びの悪い部分などがよく磨ける。
※ブラシ類の保管は必ずブラシ部分を上にして、よく乾燥させて。
◆電動歯ブラシ:腕の力や手先の動きの衰えをカバーして楽に汚れ落としができるが、人によっては振動に慣れるのに時間がかかる場合も。重さや大きさなど本人の使い勝手を重視して選ぶこと。歯科医に相談するとよい。
◆歯磨き剤:虫歯予防になるフッ素入りを。清涼感の強いものは避けマイルドなものを。
口の中はプライベートゾーンだからこそ、信頼できるかかりつけ歯科医は大切だ。身近で高齢者の治療に詳しい歯科医の探し方を篠原さんに聞いた。
「虫歯や歯周病だけでなく、“機能の低下”を見つけて維持、向上すべく治療ができるよう、昨年4月から『口腔機能低下症』という疾患が保険診療でできるようになりました。この診療を行っているかどうかも、1つの目安。また、通院できなくなったときに頼りになるのが訪問歯科。訪問診療を行っている歯科医院も高齢者や要介護者に詳しいといえます」
各自治体(市区町)の歯科医師会で診療に詳しい歯科医院を相談することもできるので、一度問い合わせてみては?
「老化だからしかたがないと見過ごしがちなことも、プロに相談することで、本人や家族が楽になったり、予防できたりすることがあります。ぜひ相談してみてください」(篠原さん)
※女性セブン2019年4月11日号