今季女子ツアー第3戦「Tポイント×ENEOSゴルフトーナメント」(3月22~24日)で、上田桃子(32)が“激痛”に耐えながら逆転で通算14勝目をあげた。
「最終日前夜に原因不明の右手中指痛に襲われ、朝になっても痛みが治まらなかったそうです。棄権も検討したようだが、2位からスタートし、“右手を使わないスイング”で見事に逆転優勝した」(担当記者)
優勝会見で上田は、「中指を(グリップから)離して、(指が)1本ないと思って打ちました。右手がダメでもいけるんだと思った」とコメント。
それで優勝できたとなると、“右手は添えるだけ”が正しいグリップ、スイングを作るということなのか。プロゴルファーの沼沢聖一氏に聞いた。
「“右手がいらない”とまで言うとちょっと違いますが、たしかに右利きの人は強く握り過ぎて失敗することがよくある。とくに飛ばそうと力んで下半身が止まった状態で、右手で強く振ってしまうとスイング軌道が不安定になります。逆に、上田プロの場合、右手が使えないので下半身で飛ばそうとして、いいバランスで打てたのでしょう。
アプローチやパターでも、右手の力加減は重要。ショートゲームは左手で方向を決め、右手はインパクトのタッチで距離感を決める。強く握りすぎるとタッチが出ません。アマチュアゴルファーも、柔らかいタッチが出したいときに、“右手を強く握らない”という意識を持つといいでしょう」
まさに“怪我の功名”といえる優勝に、スコアアップのヒントも隠されていた。
※週刊ポスト2019年4月12日号