東京五輪も目前に迫り、「英語を話せるようになりたい」という要望は高まっている。中でも、NHKラジオの『ラジオ英会話』は学習者の中で人気を博している。
『ラジオ英会話』では、英語のネイティブスピーカーの会話が続出する。しっかり聴いた後トライしたいのは、「口マネ」だ。
留学経験もなかった32才から『ラジオ英会話』で学習を始め、現在は英会話スクール「EnglishTime!」代表を務める川本佐奈恵さんはこう言う。
「英会話の勉強法は、結局のところ話すことと聴くこと。まずはネイティブの発音を聴いてそっくりマネすることから始めます。野球の素振りと同じく、英会話も何度も口から出して反復練習することが習得には必須。最初は“これを言ってみたい”というセンテンス(文)を繰り返し、100回口に出してみましょう」(川本さん・以下同)
例えば、『Why don’t you come over to my place?』(訳:私のところに遊びにこない?)というセンテンスを聴いたら、音を止めて、すぐ繰り返し口に出す。
「言えていれば、自分のものになっている。聴きながら同時にしゃべる『シャドーイング』は、できた気になってしまうんです。音を止めて何度も繰り返す方が、はるかに『英語耳』や口の『英語筋』を鍛えられます」
音を聴いてマネすることに慣れてきたら、「ディクテーション」にチャレンジしよう。
「ディクテーションとは、英語の音声だけを聴いてセンテンスを書き出すことです。番組内では、ネイティブの講師たちが放送中に何気なく英語でおしゃべりすることがあります。その内容はテキストには反映されていないので、おしゃべりを独自に書き出してみると自分がどこまで会話を聴き取り、理解できているのかとてもよくわかります」
ディクテーションは「根気よく粘るプロセス」に意味があるとも。
「ディクテーションをする際、リスニングに自信がなければ、まずは聴こえた音をカタカナで書き出して、それから辞書を徹底的に引いてピタリとくる単語を探します。その作業を繰り返して、限りなく正解に近い文を仕上げる。
正解を導き出すことが目的ではありませんから、別に答えは必要ありません。むしろ答えがあると、それに頼って効果が半減してしまう恐れもあります。ディクテーションを繰り返す過程で、英語力はぐんと伸びるんです」
◆学習の王道は何か
多種多様な英語番組の中から、どれを選ぶか迷っている人もいるだろう。「浮気は絶対にいけません」と断言するのは川本さんだ。
「各番組によって、授業の仕方はまったく異なりますから、“今月は『ラジオ英会話』、来月は『英会話楽習』”などと聴く番組を変えていると、何も身につかずに中途半端で終わってしまう。最低でも3年は同じ番組を続けて聴くべきです」
英会話学習の王道は、「毎日必ず行うこと」にある。