3月26日に亡くなったショーケンこと萩原健一さん(享年68)の死因は、「消化管間質腫瘍」(GIST)という聞き慣れない病名だった。
病名に冠される「間質」とは何か。NPO法人・稀少腫瘍研究会理事で、兵庫医科大学主任教授の廣田誠一医師(病理学)が解説する。
「間質とは、体内のあらゆる器官や臓器の“隙間”を埋めている組織のことで、それぞれの器官や臓器を支える役割を担っています。
間質のがんは、消化管で起こるGISTが最も多い。一般的に、胃がんや大腸がんなどの消化器系がんは、臓器の表面を覆う上皮(粘膜)細胞ががん化することで発症しますが、GISTは上皮ではなく、その下層にあり、消化管を動かす働きを持つ『カハール介在細胞』という特殊な間質細胞が悪性腫瘍(肉腫)に変化して起こります」
GIST以外にも、命に関わる可能性があるのが「間質性肺炎」だ。神奈川県立循環器呼吸器病センターが設立した、日本初の「間質性肺炎センター」室長の小倉高志医師(呼吸器内科)が解説する。
「肺の間質とは、吸った空気から酸素を取り込む『肺胞』という組織の“外壁”にあたり、二酸化炭素を放出する役割を担っています。間質が炎症を起こし、線維化する(厚く硬くなる)病気が間質性肺炎です。間質が厚くなることで、酸素と二酸化炭素の交換を妨げ、呼吸困難を生じます」
一方で、一般的な肺炎は、細菌が肺胞に侵入して炎症を起こすことで生じる。さらに重篤化すると、肺胞の中に水が溜まることで呼吸困難に至るケースもあるが、間質性肺炎とは発症のメカニズムが異なる。