日本中が待ち望んだ4月1日の新元号発表。菅義偉官房長官(70才)が掲げた「令和」の2文字に、国民は釘付けとなった。
「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味が込められている。夢や希望に向かって活躍する時代であってほしい」
安倍晋三首相(64才)の言葉に、いよいよ新しい時代が始まるという期待を持った人も多いはずだ。
そんな新元号を国民よりもわずかに先に知られたのが、5月1日に新天皇に即位される徳仁皇太子殿下だった。菅官房長官の発表直前に「令和」を伝えられた皇太子さまは、にこやかな表情を浮かべて「わかりました」とお答えになられたと報じられている。
天皇陛下の退位まで残り十数日と迫った。新たな時代の「象徴」となる新天皇は、いったいどんな人物なのだろうか。笑顔を絶やされない皇太子さまのお顔はよく拝見するが、その素顔はあまり知られていない。さまざまな関係者たちの秘蔵エピソードから、皇太子さまのお人柄が浮かび上がってきた。
◆「皇室に新しい血が入ったのだ」と担当医を驚かせた幼児期
《あづかれる宝にも似てあるときは吾子ながらかひな畏れつつ抱く》
皇太子さまは1960年2月23日にお生まれになった。自ら産んだ子でありながら、将来の天皇になることが約束されたわが子を抱かれる緊張感を、当時皇太子妃であった美智子さまはそう和歌に詠まれている。
その一方で、「自分のお乳で育てたい」と、平安時代から皇室に続いていた「乳人(めのと)制度」をやめられ、ご自身で授乳されたことは驚きを持って大々的に報道された。
すくすくと育った皇太子さまは、生後6か月で離乳期を迎える。それまでの皇族方は、みな一様に離乳が難しいといわれてきたが、小さなスプーンにのせられたすりおろしのトマトを侍医長が口に運ぶと、皇太子さまは何のためらいもなくのみ込まれた。
担当医であった佐藤久東宮侍医長は大変に驚き、「皇室に新しい血が入ったのだ」と感じたという。
その翌月、公務で長期間の訪米をすることになった美智子さまは、「人によってバラバラなしつけではいけない」という考えから、自分が不在のときでも、一貫した子育てが実践できるよう、子育て方法を記したノートを侍従や看護師に残された。
浩宮徳仁親王の「徳」の一字から「ナルちゃん憲法」と名づけられたこの子育てノートは、世の母親の育児バイブルとして大反響を呼んだ。それまでの皇室には見られない家庭的で厳しい教育により、幼少時から皇太子さまは「公の精神」を育まれる。