3月26日にこの世を去ったショーケンこと萩原健一(享年68)のように、かつての芸能界には社会ルールを逸脱しながらも芸に生きた、破滅型スターたちが確かにいた。芸人の世界にも破滅型は多かった。なかでも多くの芸能関係者が名を挙げるのは、「天才漫才師」と評された横山やすし(享年51)だ。
1970年に西川きよしとのコンビで上方漫才大賞を受賞するも、その年の12月にタクシー運転手を暴行。飲酒と無免許も重なって懲役3か月、執行猶予2年の判決を受け、謹慎生活を余儀なくされた。
謹慎が明けた後も若手芸人への暴行、酒気帯び運転など、トラブルが相次いだ。
「それでもお笑いに関しては天才でした。1977年には2度目の上方漫才大賞を受賞し、1984年にも上方お笑い大賞を取っている。昭和後期の漫才ブームは『やすしきよし』が引っ張ったといっても過言ではなく、ハチャメチャな私生活と反比例するように芸が磨かれていった」(関西のテレビ関係者)
1992年、参院選に立候補するも落選。その直後、何者かに暴行を受けた。脳挫傷で意識不明の重体となり、退院後も言語障害や記憶喪失の後遺症が残った。そして1996年、アルコール性肝硬変で亡くなった。