ライフ

【嵐山光三郎氏書評】欲望の殉教者vs社会性欠如研究者対談

『脳はみんな病んでいる』/池谷裕二、中村うさぎ・著

【書評】『脳はみんな病んでいる』/池谷裕二、中村うさぎ・著/新潮社/1400円+税
【評者】嵐山光三郎(作家)

 脳研究者池谷裕二と中村うさぎの対談集。中村うさぎは二〇一三年八月に入院先で心肺停止となったが生還し、神経系の難病と診断されて車イス生活に戻った。後ろに介助者がいないと「ひっくり返る!」という恐怖心に襲われる。

 東大大学院薬学系研究科池谷教授は、うさぎさんのよき理解者で、それを自閉スペクトラム症(わざとヒンシュクを買う発達障害)の疑いがあるとし、自分も同じような症状があるため「同病あい憐れむ」エキサイティングな対談となった。ヤバイ対談。

 中村うさぎは「自分の欠点や異常さをギャグにする」自虐を処世術として「社会性を欠いたバカキャラ」路線を貫いてきた。買い物依存症を体験し、ブランド物やホストに浪費して、税金や公共料金を滞納する痛い目にあってきた。自らを実験台として、欲望の殉教者となって書く作家である。

「正常じゃない」ことをくりかえして、正常と異常の境界線がわからなくなる。その危険な領域へ侵入する脳の正体を追っていく。脳言語とはなにかを問う女性版ホーキング博士ですね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン