今やすっかり「1人1台」が当たり前になりつつあるスマホ。公立小中学校ではこれまで校内持ち込み禁止が一般的だったが、大阪府が2019年度からスマホや携帯電話の持ち込みを解禁し、話題になっている。小中学生の持ち物としてスマホは高価なものだが、破損・紛失したら誰が責任を取るのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
大阪府が奨励している小中学生の学校への携帯持ち込みに反対です。災害用のためという大義名分があるにせよ、いじめの温床になりかねません。さらに学校に持ち込んだ携帯が破損、紛失した場合も心配です。そのような状況になったとき、今の法律に照らし合わせると、誰が責任を取り、補償するのでしょう。
【回答】
スマホを失くした場合と壊れた場合に分けて検討します。所持品を失くすのは本人の不注意ですから、第三者は責任を負いません。特に落としやすいとか、忘れ物をしやすい環境を作れるものではなく、学校が責任を負うこともありえません。それは高価なものを持たせた親がよく言い聞かせるべきこと。自分の不注意で落として壊した場合も同様です。
スマホが壊された場合は、壊した生徒等が責任を負いますが、小学生だと責任能力がないので、親権者である親が法定監督義務者として責任を負います。
学校内で直接、子供を監督するのは学校ですから、学校も監督責任を負いますが、これは学校生活の範囲内で親に代わって負う監督義務です。子供の行動や生活全般について広範な監督義務がある親は学内事故であっても、責任を免れません。この責任は監督義務を怠らなかった場合以外、免責されない厳格なものです。