ビジネス

iPhone不振でどうなる? アップルの勝算占う3つのポイント

昨年発売したiPhoneXS(左)とXS Maxの売れ行きも芳しくない

昨年発売したiPhoneXS(左)とXS Maxの売れ行きも芳しくない(時事通信フォト)

 米アップルのiPhoneの販売不振が伝えられる中、今年登場すると見られる新型iPhoneに関する噂や情報が早くも飛び交っている。これまで全世界で無敵の販売台数を誇ってきたiPhoneだが、果たして今後巻き返すことができるのか──。近著に『アップル さらなる成長と死角』(ダイヤモンド社)があり、アップルでの勤務経験も持つ経営コンサルタントの竹内一正氏が解説する。

 * * *
 今年に入って世界のスマホ市場は新たな局面を迎えている。昨年秋に投入した価格1000ドルを超えるiPhoneは売れ行きが鈍り、中国ではiPhoneの値下げまで行った。その一方で、中国スマホ企業は好調でファーウェイなどは売り上げを伸ばしている。

 日本市場でもiPhoneXSの販売台数は、iPhone7の半分以下と苦戦している。ただ、売れ行きが鈍っているのは iPhone だけでなく、サムスンのGalaxy Note 9も落ち込んでいる。このことからも、スマホの高価格路線は軌道に乗っていないことがわかる。

 iPhoneは2015年度から販売台数ベースではすでに頭打ちになっていた。そこで、アップルのCEO(最高経営責任者)、ティム・クックは1000ドルを超える高級路線でiPhoneの販売台数の低下を補う戦略に出たのだった。ところが、1000ドル超の価格帯ではユーザー数が減ることは必定だった。

多すぎるiPhoneの機種

 現在のiPhoneの高価格戦略は見直しが必要だ。特に機種数が増えすぎている点は気にかかる。

 スティーブ・ジョブズが存命中の2009年1月ではiPhoneは1機種だけしか販売していなかった。メモリー容量による品種を入れても2品種だった。

 だが、クックCEOが誕生して4年後の2015年1月時点でiPhoneは4機種9品種に増え、さらに、2019年1月では7機種17品種と戦線は拡大した。現在、iPhone7、iPhone8、iPhoneXR/XS/Maxなど多くの選択肢が並び、いったいどれを買ったらいいのかユーザーは悩んでしまう。

 ジョブズ時代にこんなことはなかった。アップルに復帰したジョブズは、製品ラインナップをわずか4つに縮小して、傾きかけたアップル社を再建したのだ。逆に言えば、アップルが機種を増やすときは販売戦略が上手くいってない時である。

 現在のCEOクックが今やっていることはジョブズと真逆で、iPhoneを一本に絞るだけの自信作を持ち合わせていないように見えると言ったら酷だろうか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン