米アップルのiPhoneの販売不振が伝えられる中、今年登場すると見られる新型iPhoneに関する噂や情報が早くも飛び交っている。これまで全世界で無敵の販売台数を誇ってきたiPhoneだが、果たして今後巻き返すことができるのか──。近著に『アップル さらなる成長と死角』(ダイヤモンド社)があり、アップルでの勤務経験も持つ経営コンサルタントの竹内一正氏が解説する。
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今年に入って世界のスマホ市場は新たな局面を迎えている。昨年秋に投入した価格1000ドルを超えるiPhoneは売れ行きが鈍り、中国ではiPhoneの値下げまで行った。その一方で、中国スマホ企業は好調でファーウェイなどは売り上げを伸ばしている。
日本市場でもiPhoneXSの販売台数は、iPhone7の半分以下と苦戦している。ただ、売れ行きが鈍っているのは iPhone だけでなく、サムスンのGalaxy Note 9も落ち込んでいる。このことからも、スマホの高価格路線は軌道に乗っていないことがわかる。
iPhoneは2015年度から販売台数ベースではすでに頭打ちになっていた。そこで、アップルのCEO(最高経営責任者)、ティム・クックは1000ドルを超える高級路線でiPhoneの販売台数の低下を補う戦略に出たのだった。ところが、1000ドル超の価格帯ではユーザー数が減ることは必定だった。
多すぎるiPhoneの機種
現在のiPhoneの高価格戦略は見直しが必要だ。特に機種数が増えすぎている点は気にかかる。
スティーブ・ジョブズが存命中の2009年1月ではiPhoneは1機種だけしか販売していなかった。メモリー容量による品種を入れても2品種だった。
だが、クックCEOが誕生して4年後の2015年1月時点でiPhoneは4機種9品種に増え、さらに、2019年1月では7機種17品種と戦線は拡大した。現在、iPhone7、iPhone8、iPhoneXR/XS/Maxなど多くの選択肢が並び、いったいどれを買ったらいいのかユーザーは悩んでしまう。
ジョブズ時代にこんなことはなかった。アップルに復帰したジョブズは、製品ラインナップをわずか4つに縮小して、傾きかけたアップル社を再建したのだ。逆に言えば、アップルが機種を増やすときは販売戦略が上手くいってない時である。
現在のCEOクックが今やっていることはジョブズと真逆で、iPhoneを一本に絞るだけの自信作を持ち合わせていないように見えると言ったら酷だろうか。