2019年は「年金カット元年」だ。年金受給額が自動的に減らされる「マクロ経済スライド」が発動され、年金額は徐々に目減りしていくのだ。老後の資金不足に備えるためには、今のうちから「自分で年金を作る」ことが大切となってくる。
「じぶん年金」にずばり当てはまるのが、「イデコ(iDeCo、個人型確定拠出年金)」だ。毎月一定額を「掛け金」として金融機関に預け、投資信託などの商品を運用する。長期の運用を前提とし、一度積み立て始めると60才まで引き出せない。
イデコは国が肝入で用意した制度ということもあり税金において3つの優遇措置がある。1つ目は掛け金が全額、所得控除の対象になること。2つ目は、運用益が非課税になること。3つ目は、イデコを年金として受け取る際にも税金の控除を受けられることだ。
そんなイデコをどうやって始めればよいか。まずは金融機関選びだ。60才まで引き出せず、1人1口座しか選べないため、慎重に決めたい。ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんが話す。
「選ぶポイントは、年間の手数料が安いこと。口座管理費用が、最低金額の年間2004円に設定されているかどうかを目安にしましょう」
商品選びはどうか。ここでもやはり手数料が重要になる。商品ごとに設定されている「信託報酬」は原則安ければ安いほどよい。ただ、商品によっては、手数料は高くても、その分手間をかけて大きな利益を出すことを目的にした投資信託もあるため注意したい。
投資信託は、期待できる利回りが大きい商品はリスクも高く、反対に利回りが小さい商品はリスクも低い。利益が低くても安定的に運用したいなら、「債券」が多く含まれる年間利回り3%程度の商品を、確実に利益を目指すなら、「株式」が多く含まれる利回り5%程度の商品を、リスクを取り積極的に利益を狙うなら、すべて「株式」で運用される利回り7%の商品を選ぶとよい。専門家のおすすめ商品を表にまとめたので参考にしてほしい。イデア・ファンド・コンサルティングの吉井崇裕さんが話す
「毎月一定額を買い続けることで、相場が高値の時は少量を買い、安値の時には多く買うことになります。イデコは長期運用が前提なので、長い目で見れば平均購入単価を抑えられ、利益を出しやすくなります」
長期投資は、運用で得た利益を翌年も元本に加えて再投資するため、それにまた運用益がつく「複利」効果も見込める。運用期間が長くなるほど、複利の運用効果は雪だるま式に大きくなるのだ。
「10年以上の実績がある投資信託は約1600本ありますが、運用結果がマイナスになっているのは約50本だけ。2008年のリーマン・ショックを経ても、9割以上の商品がプラスです」(吉井さん)
相場の下落時もうろたえることなく淡々と購入すれば、利益を得られる確率は高そうだ。
※女性セブン2019年5月2日号