2019年は「年金カット元年」だ。年金受給額が自動的に減らされる「マクロ経済スライド」が発動され、年金額は徐々に目減りしていくからだ。老後の資金不足に備えるためには、今のうちから「自分で年金を作る」ことが大切だ。
そんな「じぶん年金」に当てはまるのが、「イデコ(iDeCo、個人型確定拠出年金)」だ。毎月一定額を「掛け金」として金融機関に預け、投資信託などの商品を運用する。長期の運用を前提とし、一度積み立て始めると60才まで引き出せない。
税金においては3つの優遇措置がある。1つ目は掛け金が全額、所得控除の対象になること。2つ目は、運用益が非課税になること。3つ目は、イデコを年金として受け取る際にも税金の控除を受けられることだ。
イデコと並んで、税制面で優遇されているのが「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」だ。2018年1月の開始から1年で100万口座を突破。1人1口座しか持てないため、100万人が始めたことになる。
つみたてNISAは、老後の資産作りのために国が作った制度。毎月一定額を長期間、投資信託に積み立てるのもイデコとよく似ているが、運用益のみが非課税であることが大きな違いだ。
非課税となる投資枠の上限は毎年40万円、運用期間は最長20年。20年間、毎年40万円をフルで積み立てた場合、最大で800万円分の投資で得た運用益が非課税になる。ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんが話す。
「税優遇も大きなメリットですが、つみたてNISAの特徴は、対象商品が国の“お墨付き”であるということ。投資信託は、現在約6000本ほどありますが、なかには手数料目的で作られた、利益の見込めない粗悪な商品もあります。長期運用を目的とし、安心して資産形成できるよう、金融庁が手数料が安く、長期投資に適した商品162本(2018年10月末時)を厳選しているのです」
また、イデコと異なる特徴として、いつでも好きな時に引き出し可能なことと、年齢制限も設けていないことがある。イデコは「老後資金」用に積み立て、つみたてNISAは「教育資金」や「住宅資金」といった使い方もできる。
投資効果も大きい。たとえば、毎月、非課税上限額の3万3000円を20年間、利回り5%で運用した場合、元本792万円に対し、最終積立額は1356万円、運用益は564万円になる。夫婦で始めればこの2倍の1128万円だ。本来なら、この運用益の約20%である226万円が課税されるところ、無税になる。
※女性セブン2019年5月2日号