通算100作目となるNHK朝ドラ『なつぞら』が好調だ。第1週の平均視聴率は22.1%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録し、過去5年の朝ドラで最高の出だしとなった。
そんな『なつぞら』の中で、“泣ける”と話題になっているのが、草刈正雄(66才)の演技やセリフだ。
草刈演じる柴田泰樹は、ヒロイン・なつ(広瀬すず)が引き取られた北海道・十勝の柴田家の重鎮。18才の時に十勝にたったひとりで入植して荒れ地を切り開いたという人物で、偏屈で頑固な性格だが深い愛情をもった「大樹」のような男として描かれる。視聴者からは、
「一つひとつの言葉に経験に裏打ちされた深さがあって、朝から心を打たれます。草刈さんの言葉に涙が止まらなくなってしまった回もありました」(60代主婦)
「一見強面で近寄りがたいのに、なつへの大きな愛情を感じさせる草刈さんの演技がすごい。なんであんなに響くのでしょうか…」(50代主婦)
といった声も寄せられている。
◆幼少期に苦労した草刈だからこその演技
草刈自身、雑誌のインタビューでこう述べる。
《せりふがいちいちいいんですよ。僕も年を取って泣き虫になったから、胸にきて、すぐに涙ぐんじゃいます》
だが泰樹のセリフが刺さるのは、“草刈が演じるから”という理由もある。
なかでもドラマファンが思い浮かべるのは、2016年の大河ドラマ『真田丸』で草刈が演じた真田昌幸だ。
「堺雅人さん(45才)が演じた主人公・真田幸村の父親である昌幸は、人間味あふれる言葉で主人公を成長させる役柄で大人気となり、堺さんより目立っていると話題になりました。実は『なつぞら』には『真田丸』と同じスタッフが入っていて、昌幸の衣装や雰囲気を上手に取り入れています。実際に『真田丸』で昌幸がしゃべったセリフを泰樹が口にするシーンまであるんです」(NHK関係者)
制作サイドの狙いは見事に的中。『なつぞら』でも草刈は主演に負けないほど注目されることになった。
草刈がリアルに歩んだ半生も演技ににじみ出る。
「草刈さんは母子家庭で育ち、幼少期にすごく苦労をされたそうです。そのなかでも『ありがとう、ごめんなさいと素直に言える人になりなさい』というお母さんの教えをずっと胸に抱いてきた。親が小さい頃に諭した言葉が持つ意味を知っているからこそ、厳しいながらも慈愛に満ちた泰樹の演技ができるのでしょう」(前出・NHK関係者)
朝ドラはまだまだ始まったばかり。この先も「“草刈”おんじ」の深くて泣けるメッセージに耳を傾けたい。
※女性セブン2019年5月2日号