小学生が歩行中に遭う交通事故は、新年度が始まったばかりの4月から5月に急増するというが、電動アシスト自転車の普及に伴い、小学生だけではなく、高齢者の自転車事故も増えているのだ。
「これまでは、自転車に乗る若者が事故を起こし、高齢の歩行者が死亡する事故例が多かったんです。ところが昨今、高齢者が起こす事故が急増。電動アシスト自転車に乗る高齢者が増えたからだと考えています」
こう話すのは、NPO法人自転車活用推進研究会の理事長、小林成基さんだ(以下、「」内同)。
「高齢になると、判断力・瞬発力・バランス感覚が鈍り、転倒や衝突を起こしやすくなります。危険を察知してからブレーキハンドルを握るまでに時間がかかる上、握力が弱くてしっかりブレーキをきかせられない。特に、電動アシスト自転車は、軽い力でも速度が出やすいので、“あっ”と思った瞬間には事故が起こってしまいます」
特に危険なのは出会い頭の事故。交差点に飛び出し、自動車と衝突するケースが多い。
「出会い頭の事故を防止するため、自転車にバックミラーを付ける人もいますが、慣れていないと役に立たない場合も。後方物との距離を鏡越しに推し量るのは難しく、また、鏡に映っていないものを確認しなくなるからです。交差点などでは、振り返りで後方確認を」
とはいえ、運転中に振り返るとバランスを崩しやすい。もっとも効果的な事故防止策は、交差点や曲がり角の手前で一時停止して安全確認をすること。これに尽きるという。
「高齢者は、こぎ出すのが大変だからと一時停止するのを嫌がるかたが多い。しかし、安全には代えられません」
◆親子自転車はバランスが命
一方、若者の事故の場合、ルール違反によるものが多く、なかでも乳幼児を乗せた親が運転する自転車には危険が多い。特に電動アシスト自転車は本体が重い上、前後に子供、さらに荷物を載せていたら、倒れた時に大惨事になる。
「親子で自転車に乗る時は、とにかくバランスを崩さない工夫を。例えば、3人乗りの場合、子供は後ろから乗せ、次に前に乗せる。降ろす時はその逆に。斜面に駐輪しない、荷物をハンドルにかけないなどです」
親の不注意で、幼い子供が亡くなる事故が後を絶たない。くれぐれも注意しよう。
※女性セブン2019年5月2日号