年金受給額が自動的に減らされる「マクロ経済スライド」が発動され、年金額を徐々に減る、2019年は「年金カット元年」と呼ばれている。
老後の資金不足に備えるために、今から「自分で年金を作る」発想が重要だ。そんな「じぶん年金」に有効なのは、iDeCo(イデコ)、つみたてNISA、米国債だといわれている。
では、夫婦2人にふさわしい「じぶん年金」とは?
ここでは、「会社員と専業主婦の夫婦」と「自営業の夫婦」の2パターンで、「毎月拠出できる金額」の観点から考えてみる。考え方として、どの制度や商品を優先すべきか。
ファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんは、「メリットを考えると、1番目は、税制優遇がもっとも大きいイデコ。次いで運用益が非課税になるつみたてNISA、最後に米国債の順で考えるべき」と言う。
イデコを上限額まで掛けても、まだ月々に拠出できる老後資金に余裕があるならば、つみたてNISAに回せばいい。さらに余裕があれば米国債を検討する―という考え方が基本路線だ。
では、表のSTEP1から見てみよう。まず、夫婦で毎月老後のために拠出できる金額を算出する。
例えば、その金額が【1】「4万6000円以下」の30~50代の会社員夫婦の場合、現役で働いている人が多いため、イデコ一択(STEP2・【1】)となる。
ただ、イデコは60才までしか拠出できないため、50代後半の人は判断が難しい。長尾さんが話す。
「58才や59才になると、60才まで時間が少ししかないため、イデコの購入を躊躇しがちですが、60才まで働いている人は、イデコを利用した方がよいでしょう。税制優遇が受けられるだけでもメリットは大きいです。
しかし、老後まで時間は多くありません。資産を減らさないためにも、資産のうち預貯金などの安全資産と運用の分をわけて、3~4%程度の運用を目指しましょう」
自営業の夫婦の場合も、基本的には同様に考える。イデコの拠出額の上限が1人6万8000円となるため、上限額いっぱいに掛けるなら、拠出額は2人で13万6000円。
毎月の出費としては高額だが、自営業者は会社員のように厚生年金がないため、できるだけ多く掛けておいて損はない。
一方、60代になると、イデコの代わりにつみたてNISAを選択することとなる。つみたてNISAの拠出額上限である3万3000円×2人で、月6万6000円を毎月積み立てることができる。
STEP1・【2】の拠出額「4.7万~11.2万円以下(自営業は13.7万~20.2万円以下)」、【3】の「11.3万円以上(自営業は20.3万円以上)」の場合も、基本的にはイデコ→つみたてNISA→米国債の順に選んでいけばよい。
イデコやつみたてNISAは安全性が高いとはいえ、多少のリスクを抱える投資であることに変わりはなく、損をする可能性がまったくないわけではない。「節税にもなるから」と、生活に影響を及ぼすほどお金を掛けてしまうのはNG。
家計の負担にならない範囲で、将来の自分に備えるため、上手に活用したい。
※女性セブン2019年5月2日号