2014年、イギリス・ロンドン大学シティ校の生物学者らが、「犬や猫などは紫外線が見えている可能性がある」との研究結果を発表した。
猫は時折、部屋の片隅をじっと見つめていたり、何もない空間に突然ジャンプしたりといった不可解な行動をとるが、これらは猫が人間には見えない紫外線に反応しているのではないかというのだ。紫外線を認識できる猫は、暗闇にも強い。それはなぜか。
「猫の目には“タペタム”という反射板があり、目に入ってきた光を増幅させられます。光が少ない場所では、わずかな光を増幅させ、視覚を確保しているのです」(代官山動物病院獣医師・以下同)
他にも、動いているものを見る動体視力もすぐれているというが、あまり見えていないものもあるという。
「静止しているものや近くのものにピントを合わせる能力は低く、飼い主の顔も近くではぼんやりとしか見えていない可能性が。また、色を識別するのも苦手のようで、青系統の色は識別できますが、赤系統の色は識別しにくいとされています」
猫の目の色は、目の中に入る光の量を調節する“虹彩”という部分のメラニン色素の量により決まる。一般的にメラニン色素が少ないとグリーン系、多いとカッパー系(銅色)になり、色素を全く持たない場合はブルーになる。
ほとんどの猫は、左右の目の色が同じだが、稀に左右非対称の猫もいる。左右の目の色が違う、もしくは目の一部で色が異なる目のことを“オッドアイ”と呼ぶ。
「正式名は“虹彩異色症”といい、先天的な遺伝子疾患です。原因の1つとして、メラニン色素の分布を抑制するマール遺伝子の関与が指摘されています。目にマール遺伝子が発現すると、色素が薄くなるかなくなってしまい、その結果、左右で目の色が変わってしまうのです」
遺伝子の異常は複数抱えていることが多く、オッドアイの猫は聴覚障害があったり、短命な傾向があるという。
「特に白い毛でオッドアイの猫は、ブルーの目の側の耳が難聴になりやすいとの研究報告もあります。その他、タペタムの欠損や瞳孔変位など先天性疾患を併せ持っていることがあるので、念のため検査をした方が安心でしょう」
短命の理由は、外で暮らす猫にとって耳が聞こえないのは危険だから。室内飼いなら外敵に襲われる心配もないので、寿命を左右する可能性は低いという。
とはいえ、健康体の猫に比べ遺伝的に弱いのは事実。オッドアイの猫と暮らす際は、普通の猫以上に、健康管理を意識しよう。
※女性セブン2019年5月2日号