病気の検査は「治療」の第一歩だが、ひとたび発症すれば治療や薬に費用がかかり、入院や手術で患者の体への負担が大きくなることもある。発見が遅ければ最悪の場合、治療できないケースもある。
だからこそ、“最新検査”は「病気になる前」に注目する。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が指摘する。
「健康なうちから重大な病気になるリスクを知り、予防を心がけることがより重視されるようになってきました。その流れのなかで『数年後にかかる病気』のリスクを極めて高い精度で推計できる、最新の検査が登場しています。現代の治療は、“病気を治す”のではなく、“病気にかからない”を目指す方向にどんどん進化してきているのです」
かつては発症前の兆候をつかむことが困難とされた「がん」でも、発症を未然に防ぐ道が開けてきた。
「日本人は普段から忙しくてなかなか病院に行けないと思います。とくに予防のための受診をしない傾向が強いので医師として何とかしたいと考えていた時に、自宅にいながらがんのリスクを評価できる『Noah(のあ)』を知りました。これは面白いと思って、クリニックの検査に取り入れたんです」
そう語るのは、マブチメディカルクリニック院長の馬渕知子医師だ。彼女がクリニックで実施する「Noah」は、尿を使って、がんリスクを評価する。
その特徴は、「ALA」というアミノ酸の特性を利用することだ。