グローバル展開する企業が増える中、実はいまだに日本企業の約4割は、「創業家一族」が株式の10%以上を握る同族経営という事実がある。しかも、トヨタやサントリーといった世界的企業こそ、創業家への先祖返りをしているのだ。
そして近年、立て続けに有力企業で「創業家の代替わり」が相次いでいる。2010年以降に就任した創業家社長20人については別掲の表にまとめた。
その“お家事情”は各社各様だ。流通アナリストの鈴木孝之氏が注目するのは、食品スーパー「ヤオコー」の川野澄人社長(43歳。2013年就任)と、ドラッグストアチェーン「クスリのアオキホールディングス」の青木宏憲社長(47歳。2014年就任)のケース。両社とも、一旦弟に継がせた後、息子を社長にして「創業家の代替わり」を果たした。
「澄人社長の父で創業者の幸夫会長は以前から『次の社長は弟(清巳・前社長)、その次は息子(澄人・現社長)』と公言していたが、ヤオコーでは世襲批判がほとんどなかった。
アオキも弟(宏憲・現社長の叔父)を経由して子供に継承しています。現在の宏憲社長はドラッグストアが食品を扱う先駆けとなり、業界を牽引する存在です。両社とも、若すぎる子供に磐石の態勢で継がせるために、弟を中継ぎにして創業家の代替わりに成功した例といえます」
自動車のスズキ、住宅のタマホームのように、父親が社長を譲った後も会長として存在感を発揮することで、スムーズな継承を図ろうとするケースも多い。
※週刊ポスト2019年5月3・10日号