ライフ

「平成最後おじさん」にはイラッとするよりおだてるのが吉

改元で気づくことも多いはず

 時代の節目をどう過ごすか。きっと多くの人が耳にするであろうフレーズにどう対応するかも考えものだ。大人力について日々研究を重ねるコラムニストの石原壮一郎氏が指摘する。

 * * *
 今まさに、巷ではあの人たちがすごい勢いで増殖しています。その名は「平成最後おじさん」。居酒屋に行けば「このメンバーで飲むのも平成最後だね」「おっ、平成最後のねぎぬただな」といった声があちこちから聞こえてくるだろうし、SNS上にも適当な写真に「平成最後の○○です」と添えた投稿があふれるでしょう。

 もちろん、平成最後おばさんや平成最後おじいさん、平成最後おねえさんなども増殖してますが、平成最後おじさんほどは目立ちません。ダジャレの使い手がおもにおじさんであることと、深いところでつながっている気がします。おじさんとしては、こういうことの代名詞が似合う存在であることに喜びと誇りを感じましょう。

 自分で使うにせよ、使っている人を見て楽しむにせよ、せっかくの貴重な機会ですから、いろんなアプローチで「平成最後」を満喫したいところ。「やたら『平成最後』を使うやつは鬱陶しい」と眉をひそめることで「俺は愚民どもとは違う」という面倒臭い選民意識をお手軽に満たすのも、それはそれで「平成最後」の有効な活用法です。

 まずは、ひと味違う繰り出し方を模索してみましょう。こういう大げさな言葉は、なるべくチンケな使い方をしたほうが輝きを増します。

 リビングでテレビを見ながら「よし、平成最後の耳掃除でもするか」と呟いたり、4月30日の夕ご飯のときに「平成最後のひと口は、このタクアンにするかな」と言って箸をのばしたりすれば、家族に「あら、お父さん、意外に粋なこと言うじゃない」と見直してもらえるはず。あるいは「30年分の感謝を込めて、平成最後の『ごちそうさま』だな」などと、節目を利用してふだんは言えないことを伝えてみるのも一興です。

 時には「平成最後、平成最後って、何とかのひとつ覚えみたいに」と厳しい批判を浴びることがあるかもしれません。だからといって、いちいち目くじらを立てる心の狭さを批判し返したら、間違いなくケンカになります。そういうときは「ごめん。平成最後っていう言葉を使うのは、これで平成最後にするから」とダメ押しをすることで相手を呆れさせましょう。それが大人の反撃であり、勝った気になる近道です。

 自分で使うのは抵抗があるという人も、まわりにあふれる「平成おじさん」には、あたたかい目を向けてあげたいところ。心の中でイラッとするより、どうおだてようか考えたほうが、楽しい気持ちになれます。大人のやさしさは人のためならず、です。

関連記事

トピックス

希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
NASAが発表したアルテミス計画の宇宙服のデザイン(写真=AP/AFLO)
《日本人が月に降り立つ日は間近》月面探査最前線、JAXA「SLIM」とNASA「アルテミス計画」で日本の存在感が増大 インドとの共同計画や一般企業の取り組みも
週刊ポスト
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト