国内

詐欺犯罪のセオリー「ターゲットはまず自国民」

詐欺や強盗は自国民がターゲット

詐欺や強盗は自国民がターゲット

 警察の内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た警官の日常や刑事の捜査活動などにおける驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、詐欺や強盗で自国民をターゲットにする理由について探る。

 * * *
「自国の人間は、自国の人間を騙す」

 詐欺の手口は変われども、どこにいてもまずターゲットとして狙うのは他国の人間ではなく同じ国の人間だと、暴力団幹部は言う。

 まったく同じことを警視庁組織犯罪対策課の元刑事も言っていた。

「中国人はまず最初に中国人を、韓国人は韓国人を狙う」

 騙そうとする相手の反応や考え方、どう行動するかがよくわかる方がやりやすいというのは確かだろう。そのいい例が振り込め詐欺だと暴力団幹部は話す。

「あれは言葉が通じて、生活や習慣、文化がわかるからうまくいく。国や人種、宗教が違えばムリだね」

 山梨では、中国に向けて特殊詐欺の電話を掛けていた台湾籍の男女10人が逮捕された。観光目的の短期滞在資格で入国していた彼らもまた“掛け子”として、中国語の名簿やマニュアルを使っていたという。

 先日、タイのパタヤで逮捕された日本人詐欺グループも掛け子であり、騙す相手のリストだけでなく、その特徴が記されたメモや成功する騙し方、注意点などが細かく書かれたマニュアルが押収されている。

「騙すにはまず相手の心理、どう考え、どう動くかを知ることが大事。次にトーク力だ。テレアポ(電話営業)と同じでブラッシュアップしないと成果を上げられない。金の取り立てじゃないんだからさ。イライラしてすぐにカッとなるヤツ、人の言うことを聞けないヤツ、面倒くさがるヤツはムリだね」

 掛け子にも向いているヤツと向かないヤツがいるらしい。

「観光客を騙すという手口も多いが、これにもガイドとか通訳とか運転手とか、どこかで自国の人間が絡んでいるのがほとんどだ」

 暴力団幹部は、ある中国人の名前を出した。その男のスポンサーとされるのは誰もが知る中国系の大手企業だ。

「ヤツは日本で働いている中国人ガイドたちを使って、中国人観光客に良質の漢方薬だと偽って粗悪な品を売っている。ガイドや通訳が中国人観光客を連れていく量販店に卸してもいるね。中国人なんて、日本の品物はいい物だと思っているからみんな買うのさ。中国から仕入れた粗悪品を日本製と称して、中国人に売り付けているんだ。ヤツへの戻りは売り上げの50%。ぼろい儲けだ」

「俺らが海外に出かけた時、狙うとすれば日本人だ。例えばフィリピン。自分もフィリピンに行けば、日本人を騙すだろうね。あそこは警察官がグルだからさ。金を払えば何でもOK、何でもできる。女の子に売春をさせてもフィリピンでは捕まらない。警察がグルだから俺らはもちろん、女の子も捕まらない。日本なら俺らも女の子も捕まるだろう」

 フィリピンの警察官が金欲しさに、俺も俺もと寄ってきて仲間が増えすぎたのだと暴力団幹部は語る。

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン