【著者に訊け】朝井リョウ氏/『死にがいを求めて生きているの』/1600円+税/中央公論新社
遡ること6年前。中央公論新社の創業130周年を前に、総勢8組の人気作家による競作連載企画「螺旋プロジェクト」が始動した。舞台は原始~未来の日本列島、テーマは〈対立〉といった伊坂幸太郎氏発案のお題の下、平成元年生まれの直木賞作家・朝井リョウ氏は、平成を担当した。
「だって文壇高校の、あの伊坂センパイの呼び出しですよ。行くしかないじゃないですか(笑い)。ただ、私は平成しか書けないと思いましたし、カレー屋に入ったらカレーが食べたいのと同様に読者からも私は“平成”を書くことを求められていると思い、平成係を担当することを条件に参加させていただきました」
その第1弾として刊行された本書『死にがいを求めて生きているの』は、札幌の病院に入院中の〈南水智也〉と、今なお植物状態にある友を見舞う〈堀北雄介〉を軸に、俗にゆとり世代と呼ばれる彼らの少年期から青年期までを全10章に描く。
〈誰とも比べなくていい。そう囁かれたはずの世界はこんなにも苦しい〉と帯にあるが、対立軸を奪われ、ナンバーワンよりオンリーワンの美学を強いられた彼らは、やがて生きる意味を求めて彷徨い、自滅へと向かう?