いよいよ「令和」の時代が始まる。上皇・上皇后両陛下はお忍びで各地を訪れ、お気に入りの味覚を楽しまれた。
約40年前、皇太子だった陛下が京都御所を発つ直前に召し上がったのは、創業550余年、京都の老舗「本家尾張屋」の蕎麦だった。先代店主の妹・金井秀美氏は「お見送りの際、その場にいた一人ひとりにお礼を伝えておられたのをよく覚えています」と振り返る。
陛下が愛するもう一つの“京の味”は、フランス料理「ぎをん 萬養軒」のサラダドレッシング。自家製マヨネーズがベースのまろやかな味わいで、いつでも召し上がれるようにと陛下の料理番にレシピが伝えられた。
御成婚時には、長崎名産の高級珍味・からすみが献上された。
「社長だった祖父自ら、東京まで持参したと聞いています」(「小野原本店」専務取締役・小野原善一郎氏)
両陛下が2013年に福島県桑折町を訪れた際に供されたのが、地元名産の桃「暁星」。
2011年の原発事故で風評被害に直面するなか、対面した桃農家・八木沼康明氏は、「陛下は皇后様(当時)に『美味しいね』と仰り、残さず召し上がり、励みになりました」と思い出を感謝と共に懐かしむ。
※週刊ポスト2019年5月3・10日号